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思うがまま。

「陽だまりの彼女」感想

ガッツリネタバレます。
 
 
 
 

 


 
 
とりあえず、言いたいのはすごい良かった!っていうね。
松本さんの浩介が優しくて柔らかくて。
樹里ちゃんの真緒が儚くて愛しくて。
とにかく陽だまりのように包んでくれる作品というか。
少なくとも浩介と結婚した真緒は、浩介の記憶から消えたわけで完全なるハッピーエンドではないのに。
見終わってその切なさよりも、映画全体を包んでた暖かさが残った。

前半はとにかく、浩介と真緒が心を通わせて楽しい時を過ごすストーリー。

ただ、ずっと真緒の秘密ってなんだろう?と考えてたからか、冒頭に昔浩介が江ノ島で猫を抱えてるシーン見た時に「あー…なるほどファンタジーってのは真緒が猫ってことかぁ」とすぐ答えには行きついたなぁ。
そう思って見てると、猫にしか見えなくなってきて。


転校してきていきなり浩介の席の前に立ったり。
猫舌だったり。
髪質が良いってのは毛並みが良いってことなんだなぁ、と思ったり。
犬を嫌がったり。
水族館でおいしそーって言ったり。
揺れるものにすごく興味示したり。
2人で飼ってた金魚のブライアンがいなくなった時は間違いないなと思ったねぇ。


何にでも好奇心旺盛だったのは、人間としての生活に慣れてなかったからなんだなぁ。
勉強もわかんなくて。
けど、それでも転校した浩介に会いたい一心でずっとずっと自分の寿命と戦いながら東京に出てきたんだなぁ。

全ては浩介に会うために。

だから面白かったのは、玉山さん演じる上司にモーションかけられてても全く気づく気配なくて、浩介が来たって言われたら「通してください!」って嬉々として言ってたりして。
あーなんかしっぽが見える気がするな、という感じで。
途中からは懐いてるようにしか笑。

流れで、真緒の両親の前で結婚宣言する2人。
そこで初めて、真緒が記憶障害を抱えており、当時真緒を保護したお父さん(警察)がそのまま引き取った子だと知る浩介。

「君に、真緒が背負えるか?…よそ様に、迷惑はかけられないよ」

と言われて、浩介も色々と考えたんだろうけど。
真緒に対する想いは変わらなかった。
だから、駆け落ちのように結婚して堂々とお父さんに宣言できたんだな。

「本当に…真緒でいいのか?いつか君のことも忘れてしまうかもしれない」
「真緒は真緒ですから。それにもう、”よそ様”じゃありません」

浩介は報告もなしで結婚をするタイプじゃないから最初不思議だったんだけど。
この”もうよそ様じゃありません”ってのが答えなんだろうなと思った。

あとは真緒の体がどんどん弱ってきて、浩介が真緒の実家に相談に行ったところがグッときた。

「真緒って、いい名前だと思います」

ああ、多分真緒は浩介を好きになるべくしてなったんだなぁって。
お母さんも「私と一緒で真緒は人を見る目が確かね」って。

髪の毛がどんどん抜けてきて、それを隠そうと「大したことない」という真緒に浩介が「どこが!!」って初めて声を荒げるシーンがあったけど、そのあとすぐに「ごめん…おっきい声出して」っていうのがすごい浩介らしいなぁと思った。


クライマックスに向けてのシーンで、真緒がかつて自分が救った猫だと浩介が知るとこは切なかった。

真緒の原動力は、浩介。

浩介に会うためだけに、真緒は猫としての全てを捨てて生きることを決意してそれをお願いした。
多分人魚姫のオマージュというかイメージで書いてるのかな?
そして消えてしまうんだな、真緒のことは、全て。
猫としての寿命が消える時に。


浩介の記憶だけが最後の最後まで残ってて。

でもそれも、消えてしまう。


「わっかが閉じそうで怖い」

という浩介に

「また生まれ変わるよ。あと八回もあるんだから」

と、猫のことわざにかけていう真緒。
最後のキスシーンは本当に綺麗だった。

ラストシーンで救いを感じられたのも良かったし。
あれが真緒かどうかは観た人の手に委ねるってことなんだろうな。
うん、すごく良かったです。

個人的には、2人が初めて出会った場所で、いなくなった真緒を見つけて。

「真緒。…お前、ブライアン食ったろ」と笑う浩介に、えへへ、って感じ笑う真緒が可愛かったなぁ。