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感想文と言う名の覚書をしたためています。

映画「永遠の0」感想

観に行ってきた。
本は見る前に既に読み終わってます。
以下、映画・原作のネタバレ含みますので自己責任で。
全体の感想とたたん(KAT-TUN上田竜也)関連の感想です。

 

 




すごく良かったです。泣いた。
原作も読んでいる人間としてはもちろん足りない部分や、蛇足かな?と個人的には思える部分もあったけど。
それでもやっぱり、作品の根底にある人と人との間の愛情って部分はきちんと描かれてた気がする。
岡田君も言ってたけど。
戦争映画でもあるけど、これは真実の愛の物語。
異性として人を愛することだけじゃない、本当の部分の愛情とか親愛の物語かなって思います。
作品の流れとしては、原作同様。
姉に頼まれて、60年前の戦争のこと、そしてほんとうの祖父であり、特攻で戦死した宮部を調べ始めた主人公が、過去を紐解きながら成長するっていう。
祖母は最近他界して、残された祖父が自分の本当のおじいちゃんではないと知って。
それで、出版社に勤めてる姉が祖父のことを調べがてら戦後60年での特集を組もうとしてその情報収集のバイトに駆り出される。
けれど最初に祖父の話を聞かせてもらった人は「宮部は臆病者だった」とこきおろし、その後話を聞かせてもらってもみんな似たような話ばっかり。
調べるのをやめようと考え始めた頃に話を聞くことになった井崎という老人は「小隊長は凄腕の零戦乗りでした」と話してくれる…。
ここから過去のシーンが出てくるんですね~。
井崎と宮部の出会うあたりから、その後送られたラバウルで宮部を隊長に井崎・小山で隊を組んで戦っていた頃のエピソード。
井崎と共に、宮部の下で働いていた小山っていうのがたたんなわけです。
井崎は、先だって戦艦の方で宮部と既にであっていて。
「生きて帰りたい」と憚りなく口にする宮部に対して不信感や嫌悪感を抱きつつも、日々鍛錬を怠らない姿や零戦搭乗員としての優れた腕を知っているので、ある意味宮部の人柄を諦めながらも従っていますが。
小山の目には、宮部は空で乱戦になると逃げる臆病者としか映っていない。
生に執着する宮部に強い不信感を露わにして、井崎に文句を言ったりと、攻撃的な感じ。
けれど、ラバウルからガダルカナルへの攻撃に向かい、負傷して帰還する途中。
燃料も少なく、零戦の調子が悪いため、引き返して自爆しようとする小山を宮部が止めるんですね。
「敵に一矢報いて死にたい」と、苛立った様子で宮部の許可を得ようとする小山。
それでも、引き返そうとする小山の行く手を自ら遮って生きる努力をするよう促す宮部。
その必死な姿に、小山も諦めてラバウルに帰還するために気力を振り絞る。
負傷した姿で操縦桿を必死に握りしめる姿も良かったですが、何よりも目的の場所を肉眼で確認して「やった…!」と小さくつぶやくのがたまらなかったです。
あれだけ玉砕したがっていたのにも関わらず、それでも島が見えた安堵感に思わず漏れた言葉という感じが。
そしてその瞬間、操縦桿が完璧にきかなくなってしまい、慌てて上昇しようとするもできないまま、海面に不時着。
宮部は「必ず助けを寄越すから!」と約束し、それに対して小山も白いてぬぐいを振って応えるんですね。
けれど、ラバウルに到着した宮部が要請した救助が向かった先では小山の姿はなくて。
「落ちたと思われる場所には、鱶(ふか=サメ)が泳ぎ回っておりました…!」と報告される。
小山はもちろん原作にも登場する人間で、鱶に食われてしまうというエピソードも原作内であったものですが。
宮部を嫌い、玉砕を止められたにもかかわらず、最後には覚悟を決めたように手拭いを宮部に向かって振っていた小山が思い出されてしまって…。
映画全体の時間から考えれば出演時間は短いですし、死んでしまう役柄ですが演技しているたたんが好きな人は是非に見たほうが良い。そう思います。
そして「何故玉砕させてやらなかったんですか!鱶に食われるよりも玉砕して死んだ方が小山は幸せだったはずです!」という井崎に対して、宮部が初めて声を荒げるシーン。
「井崎!まだ分からないのか!お前に家族はいないのか!お前が死んで悲しんでくれる人間はいないのか?!」
自分を待ってくれている人間を悲しませないために生きる努力をしろ、と厳しく言う宮部。
この言葉は、その後宮部と別の場所での戦いで海に落ちた時にも思い起こされたと、現代に戻っての井崎が大声で再現するシーンはたまらなく良かった。
そして何よりも好きだったのは原作でも泣いてしまったこのフレーズでした。
「私たちの世代は愛しているなんて言葉は使いません。けれど小隊長は妻と子供の為に生きて帰りたいと言いました。それは、私らの世代では『愛している』と同じことでしょう」
という台詞。ここで、祖父に関しての大きな謎のひとつが解き明かされるんですね。
決して望まない結婚ではなかった。祖父と祖母はきちんと愛し合っていたということが分かって安堵して、同時に宮部という人をもっと知りたくなった主人公は、武田という老人にも話を聞く。
この人は、宮部が零戦搭乗員育成の教官として学生を指導していたころの生徒。
当初は、どれだけ試験でうまくできても「可」をつけてくれない宮部に反発する生徒たち。
けれど、指導中に一人の予備士官が搭乗機と共に亡くなり、それを上官から「お前たち自身はともかく大事な機を壊すとは何てことだ。たるんでいるからこうなるんだ。軍人の風上にも置けない」と言われる宮部と生徒たち。
それに対して、宮部は「亡くなった伊藤は軍人の風上にも置けない男ではありません。立派な男でした。撤回してください」と上官に反論して殴られる。
そこで「知っているぞ。お前、こいつらに『可』をつけないらしいな。戦地におくりたくないのか?恥を知れ!」と上官が指摘し、生徒たちは宮部が自分たちを特攻隊員として戦地に送られない為に宮部が『不可』をつけつづけていたと知るんですね。
そして生徒たちは宮部に対する態度を改める。
そんなことがあったあと、生徒たちとの飛行中に米軍の戦闘機が現れて、激しく追い回される宮部の機。
攻撃をかわしながらなんとか耐える宮部。
すると、追いかける米軍の機に生徒の一人が自らの機で体当たりをして、大怪我を負いながらも宮部を救い、そのお礼にと宮部から外套をもらったというエピソード。
これがのちにつながってくるんですね…。
本当は、この人のパートで一番好きなのは奥さんが「戦地から帰って来たあなたと結婚した当初、あなたは毎夜うなされていました。どれだけ恐ろしい思いをしたのかと思うくらいの激しさでした。けれど下の子が中学に上がった頃、ぱったりとうなされることがなくなって。…ああ、この人はやっと戦地から帰って来たのだと思いました…」みたいなことを言うところが好きだったのでそれがないのはちょっと残念。ここが泣けるんだ~…。
で、ここで間に挟まれる合コンのシーンは、現代の考え方とその時代の考え方の相違とかの意味で入れてるのかもしれないけどあんまりいらなかったかな~と思います。
そして重要な、景浦!この人は人殺しの前科持ちでいわゆるやくざ。
その人の話によれば、腕があるのにまったく乱戦に参加せず自分の模擬空戦をしてくれという要望にもこたえない宮部にいら立ちを覚えていたようで。
ある日の空戦後に、景浦が仕掛けた模擬空戦にようやく仕方ないとばかりに宮部が乗ってくれるわけです。
けれどあまりの技術の差に愕然とし苛立ったとき、目の前に宮部の機を捉えることに成功し、思わずそのまま宮部の機に弾をうってしまう。
しかし、真っ直ぐ飛行しているように見えて実は機体をすべらせていた宮部の機にそれは当たらず、景浦は自分が試されたのだと知ってしまう。
宮部はそのまま何もなかったかのように模擬空戦を終えてしまって…やってはならないことをしてしまった責がこの時から景浦にはずっと残っていたんですかね。
当たっていたら宮部は死んでいたし、事実殺そうと思って撃った自分に気づいた時から、どこかで宮部に何かで返さなければいけないと思っていたのかもしれません。
その後、景浦と宮部が再会したのは終戦も近いころ。
自分が育てた予備士官の若者たちが米軍の戦艦に特攻に向かう際、それを護衛する役目についていた宮部。その頃の宮部は憔悴しきった様子で景浦の知っていた宮部とは別人。

自分が殺しているようなものだと思っていたんですかね、宮部は。景浦も同じ任務に就き、同じ世界を見ます。
自分が育てて、自分が死に場所まで運ぶようにして、でも妻や子供の為に生きたいという思いからかきちんと戦艦近くまで送り届けることもできず死なせてしまって。
そういう色々な思いの中で憔悴しきっていた宮部にある日特攻命令が下る。景浦はもちろん納得できない。
けれどもう決まったことなら、絶対に宮部を戦艦まで自分が送り届けると心に誓って宮部の零戦の護衛につきます。
ただ、機のトラブルから送り届けることは適わずに、去っていく宮部の機を眺めているしかできなかった景浦。
「宮部!宮部!…宮部さん!すみません!許してください…!」と叫んで泣き崩れる景浦。本当に新井くんうますぎる…。
原作読んでる身としても、最高の景浦でした。
そして「この話には愉快ではない続きがある。宮部は出発前にある男と戦闘機を交換している。そして、宮部が乗るはずだったその機はエンジントラブルを起こし、特攻することなく近くの島に不時着している」という景浦。
つまり、機を交換していなければ宮部は助かった可能性が高い。自ら助かるかもしれない可能性を捨てたのか…と絶望する主人公。景浦から、その日の特攻者リストをもらう。
そして「おじいちゃんだ…!俺たちのおじいちゃんだったんだよ…!」と気づく主人公。
宮部と機を交換した相手は、今まで本当の祖父だと思ってきた、亡くなった祖母の旦那である賢一郎だということが判明。
最後に、祖父に話を聞きに行く主人公と姉、母。
祖父は宮部の教え子であり、あの日特攻する際に宮部から「慣れ親しんだ機で行きたいんだ」と古い型である自分の機と、新しい宮部の機を交換してくれと頼まれたと知る。
けれど、そんな偶然ってあるんだね…と言う主人公たちの言葉を、祖父は「違う!違うんだ!」と激しく否定。
ここからが本当に切ないところですね…。
島に不時着した後、祖父が見たのはコックピットにあった宮部からのメモと、宮部の妻と娘の写真。
メモには「もし君がこの戦争を生き残って、その時私の妻や娘が苦労をしていたとしたら、どうか助けてほしい」という頼みが書かれていた。
つまり、宮部は機に乗った時点でエンジンの不調を見抜き、その上で祖父と機を交換してほしいと言った。
その理由の一端にあったのは、祖父に命を救われたから。
武田の言っていた宮部を助けた生徒というのは、祖父のことだったわけです!ここで繋がってきますね~。
宮部は、彼に託そうと決めたんでしょう。
結果として祖父は戦争を生き残り、2年かけて大阪で底辺の暮らしをしている宮部の妻・松乃と娘・清子を見つける。
宮部を助けた時に受け取った外套を着て現れた賢一郎を、松乃は一瞬宮部と見間違う。ここも切ないです。
当初はなかなか賢一郎の気持ちを受け取れなかった松乃も、長い時間をかけて少しずつ賢一郎と気持ちを育んでいきます。
そして気持ちが通じ合った時には、清子を連れて自分がどう生きてきたのかを、賢一郎に知っていて欲しいからと伝えるんですね。
ここが、もう…!!
戦後、幼い娘を抱えた若い女が生きていくのは大変なこと。やくざの囲い者にされそうになったところを助けてくれた人がいる。と。
それを聞いて「私はもっと早くにあなたを見つけるべきだった……!!」と後悔の念にさいなまれて松乃を抱きしめる賢一郎もたまらないんですが。
「助けてくれたその人は、血まみれの刀を手に、持っていた財布を私に投げつけて『生きろ』と言いました」
というその人こそが、景浦。
景浦もまた、戦後宮部の妻をずっと探していたんですね。
そして松乃を囲おうとしていたやくざを手にかけ、人殺しとして前科を持ち、そういう世界へ入っていった。
宮部の為に、人生をかけた男。これもまた、愛ですね。
映画では、祖父が「松乃を助けてくれたのは誰だったんだろうなぁ」とつぶやくだけでしたが、原作では主人公が気づきます。
ここはやっぱり、映画でも主人公に気付いてほしかったかなぁ。
景浦に話を聞いて、最後たまらなくなった景浦が主人公を強く抱きしめて「…すまんな。俺は若い男の体が好きでな」と嘘をつくところが好きだからこそ。
そうして抱きしめられた主人公に、事の真相に気付いてほしかった。景浦の人生をかけた宮部に対する気持ちを知って欲しかった。
そして最後は、零戦に乗って米軍の戦艦に迫る宮部のアップでフィナーレ。

うん、良かったです。

色々とまた追記はするかもしれませんが。
全体の流れとかはかけたので満足。
やっぱり岡田くんの宮部、良かったです。改めてすごい役者さんだなって思いました。
原作ファンを裏切らない宮部だったんじゃないかな。みんなはまり役だったと思います。
とりあえずたたんも良い経験になったんじゃないかと!そんな締めくくりで…。

真面目に書いたら疲れた…。